高志の国文学館

KOSHINOKUNI Museum of Literature

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お知らせ

3月18日(日)開催の、大伴家持生誕1300年記念企画展「歌人 大伴家持-現代と響き合う詩心」において、

『万葉集』巻十九断簡(高志の国文学館蔵)を初公開します。

 

〇制作時期:鎌倉時代中期~後期(推定)

〇作  者  名:不明

〇寸  法:[断簡]縦22.9㎝×横15.5㎝ [軸装]縦132.7㎝×横36.4㎝(軸棒41.0㎝)

〇『万葉集』該当箇所(中心となる歌:巻十九・四二〇六番歌)

渋谷を 指してわが行く この浜に 月夜飽きてむ 馬暫し停め

渋谷を目ざしてゆくこの浜べに、月光を満喫しよう。しばらく馬をとどめよ。

*書下しと現代語訳は、中西進『万葉集 全訳注原文付(四)』(講談社、1983年)による。

〇概  要

本資料は、佐佐木信綱らによる『校本万葉集』に「為氏様切」として掲載され、また、小松茂美の『古筆学大成』に

「伝源俊頼筆 万葉集切」として掲載された断簡の一つ。両書では、本資料と類似性をもつ他の断簡二点の存在が指摘されている。

書写者としてこれまで伝わる、二条為氏(1222~1286。歌人。藤原為氏とも)や源俊頼(1055~1129。歌人)との具体的な

関連は不明。久しく個人蔵であり、所在の知られていなかった切である。

内容は、巻十九・四二〇五番歌の第四句途中から同・四二〇七番歌の題詞途中までの計七行。いずれも大伴家持の

越中詠歌に該当し、二行目と六行目には、歌の作者として家持の名前も確認できる。さらに、本資料の主たる四二〇六番歌は、

越中の風光を詠んだものであり、まさに「越中万葉」として当地に相応しい切となっている。