展示情報
exhibition

高志の国文学館開館10周年記念企画展「荒井良二のPICTURE BOOK<絵・本>」
世界で注目を集める絵本作家のひとり、荒井良二(1956~)。
2001年のアメリカ同時多発テロ事件から生まれた『はっぴいさん』、東日本大震災をきっかけに描かれた『あさになったのでまどをあけますよ』など、時代をみつめた絵本作品は大きな反響をよびました。
日本絵本賞大賞やボローニャ国際児童図書展特別賞など国内外で数々の賞を受賞し、2005年には、児童文学や青少年向けの文学作品にあたえられる、スウェーデンの世界的な文学賞であるアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を日本人ではじめて受賞しました。
豊かな色彩と繰り返す言葉のリズムが特徴的な荒井の絵本は、子どものみならず、かつて子どもであった大人を含めて幅広い世代に人気を誇っています。本質的なものをそっと差し出すような荒井の作品は、誰の心にも響く深い感動を届けてくれます。
本展は、高志の国文学館開館10周年を記念した、はじめての絵本展です。初期から最近までの代表作を通して、何気ない日常の中にこそ生きる喜びや希望があることに気づかせてくれる、荒井の絵本の世界をお楽しみいただきます。

おわら風の盆の画家 林秋路(はやし あきじ)特集

富山を描いた文学作品-富山文学地図(4)

ヘルン文庫コーナー「ラフカディオ・ハーンの再話作品(日本の怪談)」
「耳なし芳一」「むじな」「ろくろ首」「雪女」など、『怪談』に収められたこれらの物語は、一般的にハーンの代表作としてよく知られています。これらは、日本の昔話や伝説などをもとに、ハーンが独自の表現で書き直した文学作品であり、「再話」と呼ばれるものです。
明治23年(1890)に来日して以降、日本の昔話や伝説に関心を抱くようになったハーンは、来日後第1作『知られぬ日本の面影』(1894年)において、その土地の伝承を語りの形で作品中に取り込み、『霊の日本』(1899年)からは、4篇の独立した再話作品を書きました。翌年の『影』からは、再話作品6篇を著作の柱として巻頭に掲げるようになり、続く『日本雑録』(1901年)には6篇、『骨董』(1902年)には9篇、『怪談』(1904年)には最多の14篇の再話作品を収めるに至りました。なかでも、晩年の『骨董』『怪談』収録の再話物語は、作品としての完成度が高く評価されています。
妻セツの回想記『思ひ出の記』には「幽霊滝の伝説」(『骨董』所収)の登場人物のセリフをセツに何度も繰り返させ、その言い方や声の調子はどうだったか、などと本にないことまで2人で相談したことが語られています。登場人物に人間的な肉付けが与えられ、物語にリアリティが生れていく過程がうかがえます。
〈ヘルン文庫について〉
高志の国文学館は、富山県の「ふるさと文学の総合窓口」の役割を果たす一環として、富山大学に伝わる「ヘルン文庫」を紹介するコーナーを、常設展示室に設けています。
ヘルン文庫は、明治期の日本を海外に紹介した、小泉八雲ことラフカディオ・ハーンの旧蔵書からなる大変意義深い文庫です。
これまでに常設展をご覧いただいた方も、この機会にぜひお越しください。